国の登録記念物

登録日

2021年(令和3年3月26日)

登録対象物

名称

震生湖(しんせいこ)

所在地

秦野市今泉字釜窪1228番1ほか

所有者

秦野市ほか

登録面積

秦野市分 21,034.71平方メートル

中井町分 11,504.00平方メートル

特徴

 震生湖は、大正12年(1923年)9月1日の関東地震により、斜面が幅約250メートルにわたって地すべりを起こし、滑落した土砂が河道を閉塞して生じた堰き止め湖です。ここでは、震災から100年近く経過しても「湖面」「崩落地」「堰止地」が確認できます。当時、地震による崩壊地が多数生じましたが現存するものは希有です。

 震生湖は形成直後から専門家による調査研究がなされており、昭和5年(1930年)には東京帝国大学地震研究所の寺田寅彦らの測量がなされるなど注目されてきました。また、地元有志によって災害直後の大正13年(1924年)に「震生湖」との名がつけられ、地震災害の鎮魂の場所や風光明媚な観光地として利用が継続されてきました。近年では市民による里山保全地としての管理も始まっています。これらは、災害による地形をほとんど改変することなく、利活用が進められています。

 以上より、震生湖は関東大地震によって誕生した「現存する堰止湖」として地震による地形変化の規模の大きさを今日に伝える意義深い例であるとともに、自然災害と人々の関わりを考える上で貴重な資料ともいえます。